さらしな歯科医院 静岡県掛川市下俣192-7 0537-23-8808

世界基準の治療環境

世界基準の治療環境 当院では、より精密で高度な治療を提供するべく、先進の歯科用マイクロスコープや歯科用CTなどの設備を整え、各種の治療に応用しております。とくに歯内療法(歯の根の治療)において、両者の併用は極めて有用であり、CTによって得られる3次元画像をもとに、マイクロスコープを駆使して患部を直接確認、施術することで、今まで「見えなかった」ものが「見える」ようになり、「不可能だった」ことが「可能」になってきました。

 

歯科用マイクロスコープ(実体顕微鏡)

 肉眼の3〜20倍以上まで視野を拡大することができる光学機器で、脳神経外科、心臓外科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科などのいくつかの分野で低侵襲手術を行うための不可欠なツールになっています。

EXTARO300   EXTARO300

 当院では、世界最高水準の光学機器メーカーであるドイツ、カール・ツァイス社製の歯科用マイクロスコープ「EXTARO300」を導入しています。アポロ11号による月面着陸の際に宇宙飛行士が手にしていたカメラのレンズも、コッホやアインシュタインなどの多くのノーベル賞受賞者が愛用した顕微鏡も、Google Earthの衛星画像を撮影している衛星カメラのレンズも、すべてZEISS(ツァイス)のレンズが用いられており、1846年の創業以来、精密光学のパイオニアとして様々な分野をリードしてきた信頼と実績のあるメーカーです。

「マイクロスコープを通して見える世界」

マイクロスコープを使用した診断   マイクロスコープを使用した診断
低倍率と高倍率の比較


 人間の肉眼で近接する2点を識別できるのは0.2mmが限界で、それ以下の短い距離は判別することはできません。マイクロスコープを使用することにより、狭くて暗い口の中の、さらに奥にある奥歯の内部の細部さえも、肉眼では視認が困難であった患部が、同軸照明下の明視野で拡大され、詳細に識別することが可能となりました。これにより、歯科医の“経験”や“勘”に頼ってきた従来の治療では不可能だった高精度な治療を行うことができるようになります。

さらに、カメラやモニターに接続することで、術中に静止画や動画を撮影して、それを患者さんに見てもらいながら説明することで、治療内容についてより深く理解して頂くことができます。 当院では歯内療法(歯の根の治療)をはじめ、虫歯治療、歯周病治療、審美治療など様々な治療にマイクロスコープやルーペ(拡大鏡:頭部に装着する眼鏡)を使用し、高精度な治療の提供に努めております。

マイクロスコープを使用した診断


 我が国における歯科診療所のマイクロスコープの普及率は5〜10%と言われていますが、十分に使いこなすにはトレーニングを積んで技術と経験を身に付ける必要があるため、実際に活用されている割合はもっと少ないと言われています(導入はしたが埃をかぶっているという話もよく聞きます)。他方、アメリカでは歯内療法の専門医はマイクロスコープの使用が義務付けられていて、マイクロスコープによる治療がもはや歯内療法におけるグローバル・スタンダードになっているのです。この日米間格差は実際の治療成果として如実に現れており、初めて歯の神経を抜く治療(再治療ではない)では、アメリカの専門医なら成功率が9割〜9割5分であるのに対して、日本における成功率は5割程度と言われています(健康保険医療データなどをもとに分析。東京医科歯科大学の調査では3〜5割程度)。つまり、日本では半数以上の人は同じ歯がまた腫れたりするなどの炎症を繰り返してしまい、結局は歯そのものの喪失を招いてしまうケースも少なくありません。

「根管治療〜マイクロスコープが最も本領発揮する治療」

 根の中の治療(根管治療)はマイクロスコープが最も本領を発揮する治療の一つです。歯の中にある根管(歯の中の神経の通り道)は、とても狭く複雑に入り組んだ形をしており、従来は根管の中を肉眼で見ることができなかったので、レントゲンを参考にしながら手探りで手指の感覚だけを頼りに“経験”と“勘”で治療が行われていました。そのため、どうしても見落としが発生して感染源が残ってしまい、症状が再発して再治療となる場合が往々にしてありました。マイクロスコープを用いることで、レンズをのぞいている目線の角度とライトの角度が一致しているため、狭くて暗い根管の中のより深部を明るく拡大して直接見ることができるので、正確に治療を行うことが可能となり、従来では考えられないような細部の治療も可能となりました。

根管処置歯

根尖病変が見つかった(根の治療が成功しなかった)割合

東京医科歯科大学むし歯外来に来院した患者さんのレントゲン写真を撮影し、根尖病変が見つかった(根の治療が成功しなかった)割合。(根の治療は他の一般診療所で施術)


『根管(歯髄腔)解剖図鑑』より

大阪歯科大学 小野寅之介著
『根管(歯髄腔)解剖図鑑』より
(日本で初めて根管の複雑さを著した成書)


 根管治療を行ううえで重要なのは、歯の形や根管系の状態をきちんと把握しておくことです。難治症例の中には、術者が根管の形態を把握していないために難治となっていることがあり、CTやマイクロスコープを利用することにより、難治化せずに治癒することもあります。一本の奥歯に複数の歯根が分岐することが多いですが、「歯根の数」と内部の「根管の数」が一致しないことが多いということを念頭に置いて治療する必要があります。

上の奥歯(上顎大臼歯)の場合、レントゲン写真上は「根」が3つであっても内部の「根管」は4つ以上存在することがあります。手前側の歯根である近心頬側根(MB)という1つの歯根の中に、50〜70%の頻度(研究報告によって差がある)で根管が2つ以上存在することがあるからです。このうち、近心頬側第1根管(MB1)は外側の壁寄りに見られ検出しやすいですが、近心頬側第2根管(MB2)は従来の肉眼による治療では探索が困難で見落とされてしまうことが多く、拡大鏡(ルーペ)を用いても確認できない場合もあります。ある研究では、上顎大臼歯において肉眼でMB2の確認を試みた場合にはその2割程度しか検出できないが、実体顕微鏡を用いることで7割以上の上顎大臼歯にMB2を認めたと報告されています。MB2の見落としが原因とみられる根尖病変に対して再治療を要することも少なくないようです。 マイクロスコープを用いることによって、MB2を見落とさないように根管処置を行うことができ、さらに感染した根管内の汚れ、腐敗物もキレイに洗浄することで直接目で見てしっかり洗浄できたかを確認することができます。

上顎大臼歯の内部の根管の入口

上顎大臼歯の内部の根管の入口。肉眼でMB2を明確に識別するのは困難(写真は抜去歯。マイクロスコープ低倍率画像。)


マイクロスコープを使って高倍率で観察

マイクロスコープを使って高倍率で観察するとMB1から溝が延びているのが明瞭に分かる(写真の画像は全体的にやや暗い感じだが、実際に接眼レンズをのぞいて得られる視野はこれよりもっと明るい)


マイクロスコープを使って高倍率で観察

MB1から内側に延びる溝をたどって細い針状の器具で根管の存在を確認し、超音波器具で少し切削するとMB2が検出された


マイクロスコープを使って高倍率で観察

MB1とMB2の間にあるイスムス(根管と根管とを結ぶ狭くて深い溝で細菌増殖の温床となる)もできる限り機械的に除去しないと感染源を残すことになる(マイクロスコープは必須であり、肉眼では判別不可能。あらぬ方向に過剰切削して歯根に穴が開かないよう慎重かつ丁寧に除菌・清掃する)


 ただし、当院のマイクロスコープは双眼で立体視が可能ですが(2つの光軸上に左右2対の光学系を配置した双眼実体顕微鏡。物体を立体的に捉えるためには、左右の眼による視差が必要)、メーカーによってはマイクロスコープと謳っていても仕組みが全く異なるものもあります。外視鏡と呼ばれるもので(本来の光学顕微鏡とは異なる)、口腔外(術野の外)から単眼カメラで撮影した映像を外付けモニターに写して、それを術者が見ながら治療を行うものがありますが、これは単眼ゆえに立体視できないので奥行きが捉えにくく、狭小かつ深部の根管の中での高精度な治療を行うには不向きと言われているので注意が必要です。外視鏡はむしろ術野が浅くて狭くない、それほど強拡大を必要としない処置に向いていると思われ、用途に応じた使い分けが必要です。また、特別な技術やトレーニングを必要とせず手軽に誰でも使えるという点ではメリットがありますが、術者の体性感覚から離れた位置から写した映像に対して繊細で精密な作業をするのに、どれだけの安定性や安全性が担保されているのか懸念も残ります。

当院では、不幸にも歯を喪失した場合においては、インプラントや歯の移植、ブリッジや可撤式義歯(いわゆる入れ歯)などによる欠損補綴治療によって、機能や審美の回復に積極的に取り組んでおります。しかし、修復一辺倒だった20世紀の歯科医療とは様相が変わり、予防概念が浸透してきている21世紀の歯科医療においては、むしろインプラントや義歯等の補綴治療に移行せずに済むように、歯の喪失をできるだけ回避し、歯の保存に全力を尽くすことこそが、歯科医師の最大の使命と考え、日々研鑽を重ねております。歯科用マイクロスコープはそのための無くてはならないツールなのです。

 

歯科用コーンビームCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)

 CTとは、X線を利用して体内の状態を断面像として描写し、それらを重ね合わせることで立体的な画像を作ることもできる検査装置です。 その中でもコーンビームCT(CBCT)は、円錐状のX線ビーム(コーンビーム)を照射することによって、歪みの少ない高精細画像を1回の回転撮影で得ることができる装置です。 歯科用CBCTは歯・顎・顔面用に最適化されたCTで、医科用CTと比べて、撮影条件により1/200〜1/10という少ない被曝線量であり、当院のCTでは撮影時間も10秒未満で撮影できるうえ、医科で撮影する時のように横たわる必要もなく、立ったままで(座位でも可能)撮影できるので、患者さんの負担を大幅に軽減できています。

歯科用コーンビームCT

先進の技術により、様々な角度から高精細な画像を得ることができる

「様々な治療で活躍するCT」

自然放射線被曝

 日本に住んでいて1年間に受ける自然放射線被曝は1.5mSvで、歯科用CTを約15回撮影した分に相当する。東京〜ニューヨーク間の往復で歯科用CTの約2倍の被曝量となる


 従来のレントゲン写真は一方向から投影された影絵のようなもので、そのため重なってしまってはっきり見えなかった部分も、CTによって正確に見分けることができ、従来では分からなかった病変を検出することができます。 (ある研究によれば、従来のレントゲン写真で根の先の病変(根尖病変)が見出される感度は0.55、つまり半分は見逃されていることになります。別の研究では、同一のレントゲン写真を6人の医師が評価したところ、診断の一致は47%にとどまり、さらに同一写真を同一医師に二度評価させたところ、診断の一致は19〜80%でした。) また、歯の中の根管(神経の通り道)は複雑に分岐したり湾曲したりすることが多いですが、CTを用いることでそのような複雑な形態を明瞭に捉えることができ、歯を残す治療に大いに役立てることができます。不幸にも歯を失った場合でも、その部位の骨の厚みや深さを0.1mm単位で正確に測定することができ、顎の骨の立体的な形態や血管・神経の位置、骨密度等を把握できるので、インプラント治療を行うのであれば、CTによる診断は当院ではもはや欠かせません。

このようにCTを利用することで、従来のレントゲン写真と比べて、より多くの詳細な情報を得ることでき、より正確な診断とより確実で安心・安全な治療計画を立てることが可能となり、治療精度が飛躍的に向上します。当院においてはインプラント治療のみならず、歯の根の治療(歯内療法)や歯周組織再生療法などの歯周病治療、睡眠時無呼吸症候群の治療など、様々な診療で活用しています。

睡眠時無呼吸症候群


睡眠時無呼吸症候群は、気道が狭くなって睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体が低酸素状態になる病気で、脳卒中や心筋梗塞などを高率に合併し、生命予後に悪影響を与える点で軽視できません。その治療において歯科では気道を広げるための装置を製作し、その際、従来のレントゲン写真では横から見たときの気道の前後径だけで気道計測を行っていました。しかし、治療装置の装着による気道の広がりは、前後方向の増加よりも左右方向への拡大の方が大きいと言われており、装着前後の正確な気道容積の比較ができていませんでした。現在はCT撮影を行うことで、気道の立体的な体積変化を計測できるので、より正確に治療装置に対する評価を行うことができます。

また、CTを用いることは、気道の容積を計測するだけでなく視覚的に上気道の形態異常を判断するのにも役立ちます。睡眠時呼吸障害の患者さんの上気道形態は、睡眠中のみならず、起きている時にも睡眠中の狭窄部位と似たような所で潜在的に狭くなっていると言われていて、ある研究では正常者に比べて睡眠時呼吸障害の患者さんの上気道は上中咽頭境界レベル(軟口蓋レベル)の左右径が特に狭窄していると報告しており、CTを用いて3D画像を構築することで、そのような形態異常を視覚的に推察できるようになります。